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事業概要
地域の活性化には、人がつながり、多様性を受け入れるコミュニティの中心となる場所が不可欠です。そこでわたしたちは、奄美大島笠利町の赤木名(あかきな)集落に高齢者・障がい者施設と地域の伝統や文化の継承を担う観光施設、『まーぐん広場』をつくりました。この施設には、宿泊施設、食堂、物産&ギャラリー、ライブラリー、学習・保育スペースなどがあり、広場ではコンサートや地域の催しなどが開催され、地域活性化を促すプラットフォームとしての役割を果たしています。そして、奄美大島北部に点在する「伝泊 古民家」は、古民家の個性、集落の伝統、土地の特徴が生み出す他に類を見ない宿泊施設となって、集落の日常を観光化しています。
本事業の意義
過疎化・高齢化が進む地域では高齢者の孤立が深刻な問題となっています。この問題を解決するためには地域内でコミュニティを形成し、観光と連携することが必要です。私たちは単なる観光化ではなく、地域に根ざし、有機的なつながりが生まれる場所をつくり、地域の特色を生かすことで地域内外の持続可能な循環を生み出すことが重要だと考えています。わたしたちが得意なことは、地域の中で使われずに残っている施設の価値を見直し、単なるリノベーションではなく、その場所に根付いた役割や文化をもとにした地域の活性化を提案し、実現することです。ぜひ、奄美大島笠利町を実際に訪れていただき、私たちの取り組みをご覧ください。
「伝泊 古民家」を異なる集落に点在させ、集落の「日常を観光化」
奄美群島には約 360 の集落があり、それぞれが少しずつ異なる独自の文化を持っています。奄美の 「日常を観光化」するというコンセプトを実現するため、主役となる集落住民と観光客の交流の機会を創出することが重要です。そのため、集落住民が主体となって伝統行事や遊び、文化体験、自然体験などのさまざまな体験プログラムを観光客に提供しています。また、「伝泊 古民家」シリーズの宿泊施設を異なる集落に点在させることで、各集落の特色を生かした体験プログラムの実施することが可能となり、同時に集落との連携も強化されていきます。この仕組みを通じて、伝統文化を次世代に受け継いでいくことにも寄与しています。
徳之島でまちづくりが波及
わたしたちは、奄美群島の一つである徳之島天城町・平土野(へとの)集落の地域活性化を地方行政や他企業と連携してまちづくりを行っています。それに伴い「伝泊 徳之島」の事務所を平土野集落へ移転し、地域住民との交流の場としてカフェを併設しました。新たなイノベーションを起こし、平土野集落再生に貢献していきます。
29集落プロジェクト
現在、学芸員や教育機関とともに奄美大島笠利町にある29集落との連携を深めています。各集落の個性豊かな文化を深掘りするとともに、その半分以上の集落に「伝泊 古民家」を開業する準備をしています。私たちは各集落とより深い連携を持ち、関係人口を広げ、奄美の自然や集落文化を保全・継承に向けて貢献します。
伝泊とまーぐん広場を中心に地域を活性化
「まーぐん広場」は奄美大島北部、赤木名集落にあります。「まーぐん」とは、奄美大島の言葉で「みんないっしょに」という意味です。赤木名集落は、奄美空港から車で7分の場所にあり、江戸時代には奄美の中心地として栄えました。そのため、代官所跡など歴史的な場所も多く残されています。その赤木名集落で、2015年に日常生活に大きな影響を与える出来事がありました。それは、地元の特産物や交流地であったスーパーマーケット「スーパーさと」が閉店したことでした。その結果、赤木名集落内の交流が滞り、行政や住民から施設の再整備が強く求められていました。そこで2018年、集落住民・観光客・高齢者・障がい者などが多種多様な理由で集まり、感じ、作り、交流を活性化する中心地になるようにという願いを込めて「まーぐん広場」と名付けた複合施設「まーぐん広場・赤木名」をつくりました。
新しく生まれ変わった施設には宿泊施設と総合フロント、高齢者施設、食堂、物産&ギャラリー、ライブラリー、子育て支援のための学習・保育スペース、イベントスペースなどがあり、集落住民・観光客、誰でも楽しめる多様性にあふれた交流の場として、再び集落のシンボルとなっています。
体験プログラムの開発と提供
観光の目玉になる「体験プログラム」は、集落ごとの唄や踊り、方言、祭り、郷土料理など現在50種類以上あります。これらのプログラムは、集落住民が主体となって実施し、貴重な文化資源を広めていくことと同時に伝統文化を次世代に継承する役割も果たしています。「体験プログラム」は、体験を通して集落住民と観光客が交流し、地域の活性化を促します。
伝統と情報の発信
食堂とライブラリーは、奄美大島の伝統と情報の発信拠点です。食堂では、ほかの飲食店のメニューにない奄美伝統の家庭料理を提供しています。ライブラリーでは、集落住民だけでなく、観光客も有益な奄美の情報にふれることができます。どちらの場所も集落住民・観光客、双方向の交流ができる場づくりの一端を担っています。
定期的なイベント実施
まーぐん広場の中心には舞台があります。その舞台をイベントスペースとして、島唄や音楽ライブのコンサート会場、集落一帯で行われるフリーマーケット、地域の催しが開催されます。子どもたちから高齢者、観光客など誰もが楽しめる場として、地域交流やまちづくりの拠点としで重要な役割を担っています。
高齢者施設の運営
高齢者施設は、ひとりひとりの人生を尊重し、個性に寄り添いたいという思いで運営しており、「寄り添い部門」と呼ばれています。一方、島のおじ、おばが長い年月をかけて蓄積してきた知恵や経験は、奄美にとってかけがえのない宝です。その知識や経験は、観光客と交流することで島の文化や暮らしを未来につなぎ、立派な文化的観光資源となっています。
人にやさしいまちづくり
「誰一人取り残さない社会」というSDGsの目標を実現するために、島内の障がい者就労支援施設と提携し、自社開発商品の原料の採集や加工作業などの雇用を創出しています。また、2023年度以降障がい者支援施設の運営をスタートさせるほか、学童・保育と塾の再開を通してやさしいまちづくりの実現に取り組み続けていきます。
コインランドリーを併設した宿泊施設
「伝泊 ドミトリー&ランドリー」は、長年愛され、惜しまれながらも閉店してしまったカラオケボックスを改修して誕生しました。スポーツが盛んで奄美群島からの遠征が多いことを受けて、島民が安価に利用できるランドリー付き宿泊施設として誕生しましたが、現在はマリンスポーツを目的とした観光客を含め、さまざまなニーズに応えています。
食のスクーリングの実施
島の伝統料理を守り、継承するために島外の料理人による伝統料理の再編集、島の食材を使用した新たなレシピやカクテルメニューの開発など集落住民に向けた教室を開催しています。また、観光客向けには島のおじ、おばからレシピを学ぶ教室を開催し、伝統の再編集と文化の継承を目指しています。
積極的な地元雇用
「伝泊」や「まーぐん広場」の運営は、2016年に2人でスタートしましたが、2023年4月現在では100人以上の従業員がいます。その7割以上が地元雇用であり、奄美大島北部を中心に多くの雇用を創出しています。また、集落内にある「伝泊 古民家」の内外の清掃や体験プログラムの講師、集落行事の開催などを集落住民にお願いし、地域と密な連携を図っています。
自然に寄り添う建築・環境デザインの推進
奄美の伝統建築を伝える「伝泊」を始め、地域資源と自然に寄り添ったアプローチで、場所・素材の価値を再編集し、サスティナブルな社会の実現を目指しています。
観光×福祉×集落 による活性化
「まーぐん広場」など集落住民と観光客が交流できる場をつくり、集落の文化や日常生活を観光のコンテンツとして活用することで、人にやさしいまちづくりを進めています。
稼ぐ地域を創るリトリート施設開発と運営
奄美群島の魅力を最大限に味わうことができるリトリート施設の設計や企画開発のほか、運営や維持管理などを通して新たな雇用を生み出し、地域に還元する仕組みを推進します。
ウェルネスを中心に新しいひとの流れつくる
全ての人が心身とも健康に暮らせる地域を実現するため、医療従事者や企業などにまちづくりに参画してもらい、地方と都市の交流から生まれる地方創生に力を注いでいます。
地域の素材イノベーション
奄美にある素材、建築、文化、芸術などをアートと結びつけ、オリジナルかつ付加価値の高いものに生まれ変わらせることで、地域のブランド化に貢献しています。
美と健康のまちづくり構想
江戸時代の庶民の生活を参考にしながら、「農」を楽しむことで、環境に優しいだけでなく、人の心と健康を持続する「美しい循環型社会」を実現します。
自然に寄り添う建築・環境デザイン
観光×福祉×集落による活性化
稼ぐ地域をつくるリトリート開発と運営
ウェルネスを中心に新しい人の流れをつくる
地域の素材イノベーション
美と健康のまちづくり構想
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