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建築家・山下保博は、素材・構造・構法の開発を得意とし、革新的な建築で数々の世界的な賞を受賞してきました。しかし、山下は視野を世界規模へ広げる中で、これからの社会では、どんな活動でも「環境」というキーワードが重要になると考え始めました。この考えを自分の建築活動にも取り入れるようになり、未利用の資源を建築素材として再編集した建築物や消費エネルギー「0」を目指した循環型住宅、伝統的な古民家を海外に移築して文化交流施設として建設するなどに取り組みました。これらの環境に配慮した建築は、国内外で高く評価されています。
しかし、山下は建築という「点」のデザインでできることに限界を感じ始め、徐々に社会=「面」をデザインする「まちづくり」の研究に取り組むようになりました。山下は慶應義塾大学で、古民家や空き家問題、江戸時代の循環型社会に関する研究を行いました。その後、障がい者人口が約4割を占めるドイツ・ベーテルという街の在り方に感銘を受けたことから、九州大学では高齢者・障がい者・観光客を交えた地域活性化のまちづくりについて、研究を進めました。
その中で、故郷の奄美大島でのリゾート開発に携わった際に、島内で増加する空き家に関する相談を受け、その利活用を模索することとなりました。同時に奄美群島が世界自然遺産の登録されることが迫っている中で、国内外の土地開発業者によって安く土地が買い占められ、荒らされていくこと、オーバーツーリズムによる地域コミュニティや貴重な文化資源が壊されていく危険性を感じ、2016 年から宿泊施設「伝泊」を中心としたまちづくり事業をスタートさせました。
山下のコンセプトは、「伝統的な建築と集落文化を次の時代に伝える」ことです。伝統的な古民家や伝説的なスーパーマーケット、カラオケボックスなどを改修し、宿泊施設・飲食店・高齢者施設・物産&ギャラリーなどの運営にも取り組んでいます。さらに、2019 年には、新築の高級ヴィラリトリート施設「伝泊 The Beachfront MIJORA」の運営もスタートし、2024 年1月現在、奄美群島内で 42棟 52室まで規模を拡大しています。
私は建築家として、これまで見向きもされない埋もれた素材に着目し、その声を聴き、新しい建築素材と地域活性の材料として再編集してきました。
現在は、小さな集落を一つの単位としてその中でネットワークを作りながら、観光に訪れる人と新たな関係性を構築するまちづくりを実践しています。
SDGsの推進を主眼に、人間と自然との関係性に「時間」を介して、次なる希望を現実化していきます。
私の生まれは、奄美大島です。 私の祖先も、奄美です。
奄美は皆さんが知っている通り、自然に囲まれた美しい場所です。
サンサンと降り注ぐ太陽、透き通るような海、色とりどりの花や緑、そして動物達がいる自然豊かな場所です。
そこで学んだことは、 「人間も含めた全てのモノが役割を持っているということ、お互いがすごく近しい関係の中で、それぞれが活かされているということ」の二つです。
私は20年前、建築家として活動してきました。
さまざまな建築物を手掛けてきましたが、他の建築家と異なることを感じました。それは、素材の声を聞くことができるようになったことです。
素材に手を触れ、静かに寄り添うと
素材たちが小さな声で、語ってくるのです。
私はゴミになんかなりたくない。
私をこう使って欲しい。
こんな汚い使い方なんて嫌だ。
私をもっと美しくして欲しい。
私をもっと変身させて欲しい。
そういう風に素材たちが語ってくれるのです。
これまで見向きもされない埋もれた素材に着目し、その声を聴き、新しい建築素材と地域活性の材料として再編集してきました。
全てのものが存在の意味を持っており、ニュートラルな気持ちで声を聴くようにします。
それは、土や植物の声であったり、小さな集落の声であったり、さまざまな地域の人や自然の声であったりします。
私は今、集落の声を聴いています。
世界の中でも多様性のある、奄美群島の「集落文化」を持続させることに注力しています。
小さな集落を一つの単位としてその中でネットワークを作りながら、観光に訪れる人と新たな関係性を構築しています。
地球上の伝統および文化を担っている単位は、「集落」です。
人間の体を構成しているのは、37兆個の「細胞」です。
細胞と同じように、集落がネットワークを組むことで都市や国になり、
外部の情報が入ることで健全なコミュニティとなります。
集落の特色を掘り起こし、充実させ展開することが、
持続可能な社会のあり方だと私は考えています。
18世紀以降、急速な経済の発展により自然とのバランスが崩れ、20世紀には豊かさの概念が変化しました。
そして21世紀の今、「経済」から「社会貢献」と「地球環境への配慮」へと、
パラダイムシフトがおきています。
今こそ、人間が自然に寄り添う時が来ました。
人間中心のフィルターから、
自然中心のフィルターに変化するべき時が来たのです。
山下保博とまちづくりチームでは、自然、集落、ひとからの小さな声に大きな愛を持って耳を傾けます。
異なる視点から新たな考えを生み出し、チームを作り実行に移し、パラダイムシフトによる人と社会の意識変革に貢献していきます。
奄美大島では「みんな一緒」を「まーぐん」と言います。
奄美から地球へ。誰一人、何一つ取り残さない社会を目指します。
このサイトをご覧の皆さんとともに、「まーぐん」に取り組んでいきます。
「まーぐん」でプロジェクトを立ち上げたい、参加したい、個人・団体・企業の方からのご連絡を心待ちにしています。
1960年 鹿児島県奄美大島で生まれ育つ
1986年 芝浦工業大学大学院建設工学修士課程修了
1991年 (株)アトリエ・天工人設立
1999年 芝浦工業大学非常勤講師(~2007)
2007年 東京大学大学院非常勤講師(~2010)
2008年 東京理科大非常勤講師(~2010)
2010年 慶應義塾大学特別招聘教授(~2015)、「TEDx Taipei」 登壇
2012年 ギャラリー間にて、展覧会「山下保博×アトリエ・天工人展」開催
2013年 「TEDx Sakurajima」登壇
2014年 九州大学客員教授(2014.7月~2019.3月)まちづくりの研究
2015年 (株)奄美設計集団 設立
2016年 奄美イノベーション(株)設立
2016年 伝泊開業(奄美大島)
2019年 (株)伝泊+工芸 設立。一般社団法人 しま・ひと・たから 設立
2021年 一般社団法人 ウェルネス.M 設立
資 格 一級建築士 国土交通大臣登録 第 212534 号
チソカツ(地域素材利活用)の術
Tomorrow — 建築の冒険
素材・構法からの建築
Listen to the Materials/田園城市(台湾)
素材の声を聴く/フリックスタジオ
土・建築・環境―エコ時代の再発見
天工人(テクト)流
九州観光まちづくりAWARDS 2023「金賞(「宿(おもてなし)」部門)」【伝泊+まーぐん広場】
第12回 地域再生大賞 優秀賞【伝泊+まーぐん広場】 / 鹿児島県観光連盟・鹿児島経済同友会・インバウンドサミット2022にて講演 / LUXURY LIFE STYLE AWARDS 2022にて、Best Luxury Resort Architecture in Japan 受賞【伝泊 The Beachfront MIJORA】
GOOD DESIGN AWARD 金賞(経済産業大臣賞) / 伝泊 奄美にてGreenkey 2箇所取得(SDGs世界基準) / 観光庁・UNWTO主催のシンポジウムに登壇【伝泊+まーぐん広場】
国連世界観光機関(UNWTO)が審査する、第6回ジャパン・ツーリズム・アワードにて、最優秀賞「国土交通大臣賞」/「UNWTO 倫理賞」を受賞【伝泊 奄美 古民家】
第4回バクー国際建築賞 にて、佳作受賞【伝泊 奄美 古民家】【伝泊 赤木名 ホテル+まーぐん広場】【伝泊 The Beachfront MIJORA】【ネストアット奄美ビーチヴィラ】/ アジア・パシフィック・プロパティ・アワード「ホテル建築部門」「新ホテル建築・デザイン部門」にて、優秀賞受賞【ネストアット奄美ビーチヴィラ】
fib(国際コンクリート工学連盟)賞にて、最優秀作品賞受賞 【R・トルソ・C】
WAN Concrete Award(International)最終選考 【R・トルソ・C】/ 日本コンクリート工学会賞 (日本)作品賞受賞 【R・トルソ・C】
ARCASIA Awards for Architecture にて、金賞受賞、【バウンダリー・ハウス】
LEAF Awards 2013 (イギリス, ロンドン) にて、「個人住宅部門」 【 バウンダリー・ハウス】、「 サステナブルな開発部門」 「備蓄倉庫 未来の建築部門」 【 釜石市公民館及び復興公営住宅】3部門最優秀賞受賞
第16回空間デザインコンペティション(日本)金賞受賞 、【 エチオピア・ミレニウムパビリオン】エチオピア 空間デザインコンペティション金賞
ARCHIP ARCHITECTURE AWARD 2008 「個人住宅Innovations部門」にて、グランプリ受賞 【 チカニウマルコウブツ】
ar+d award 2004(イギリス, ロンドン)にて、国際新人賞受賞 【セル・ブリック】/ 国際設計競技 1等 【釜山エコセンター(韓国で初めてのエコ博物館)】
山下は、2009年に医療・福祉のまちとして知られるドイツ・ベーテルを訪問しました。このまちは、てんかん、知的障がい、精神疾患を抱える人々や高齢者、社会活動が難しい若者などが生活する共同体であり、約2万人の住民のうち40%にあたる8,000人に障がいがあります。このまちの始まりは、1872年に一人の牧師が障がい者に職業訓練をしたことがはじまりで、その後も医療と福祉が機能的に行われ、障がい者や高齢者も仕事を持ち、生きがいを得て、充実した暮らしを送っています。そのため、ベーテルでの福祉の精神は、健常者と非健常者が対等の立場で暮らす理想的なまちとして、世界中から注目されています。山下は、このベーテル訪問をきっかけに「観光」×「福祉」×「集落」のまちづくりを志しました。
山下保博は、これまで見向きもされなかったものや、すてられたもの、ゴミだと思われていたもの、迷惑がられていたものに対して手を差し伸べ、それらがどんなふうに使われたいかに大きな愛で耳を傾け、地球の声に寄り添う建築家です。奄美大島で代々集落の顔役を務める家に生まれ、育ちました。山下の父が住民の声を聞く姿を当たり前だと思い、この経験から、声をきくことの重要性に気づきました。そして、素材も同じく声を持っているのではないかと考え、砂、土、石、そして多様な動植物たちなどの小さな声を聴き続けました。また、齋藤裕氏、近藤春司氏から素材へのこだわりを学ぶことも、山下の考え方に影響を与えました。山下は素材との対話を約40年にわたって続けてきました。その深い対話と洞察によって生み出される作品は、海外でも評価されています。
例えば、鹿児島県に大量に堆積している火砕流堆積物のシラスに着目しました。これまでは迷惑がられていたこの素材を発想の転換と最新技術を駆使して「環境型シラスコンクリート」に変え、世界初の建築物である「R・トルソ・C」をつくりました。2016年に日本コンクリート工学会作品賞、2017年にアメリカコンクリート学会(ACI)のグランプリ賞、2018年には国際コンクリート工学連盟(fib)のグランプリ賞を受賞するなど、国内外で高い評価を得ています。
土という身近な素材にも取り組んでいます。土は構造物には適さないと思われていましたが、人間に害がなく、100%循環できる酸化マグネシウムを用いて耐震性・耐久性を持たせた土ブロックを開発しました。後に東日本大震災で塩害にあった土地の土を利活用する方法として土ブロックを提案し、復興支援にあたりました。
価値を見直す時代、人間が自然に寄り添う時代だからこそ、エコ・サステナビリティ達成に向けたイノベーションを3つの視点から推進しています。
素材と建築は、人・建築・素材・環境をニュートラルな視点で結びつける新たな試みです。素材と空間の関係性を再定義し、素材の可能性を最大限に広げること、環境への配慮、人との融合、そして等価性の観点をテーマに、素材と向き合い、建築と環境に配慮した新たな素材の開発を行います。
従来の価値観では、古いものは捨てて新しいものを作ることが一般的でしたが、サスティナビリティの観点からは価値の再評価が求められます。時間と建築は、既存のものを再編集することで、新しい環境の創造やライフラインの供給、伝統技術の促進など、新たな価値を生み出す建築的視点からの取り組みです。
農と建築は、身近な「農」から美しく健康な生活を目指す「体験を重視した視点」からの建築アプローチです。安心安全な食事、適度な運動、生産物の再利用によるリラクゼーションや睡眠促進など、身近な農を取り入れたライフスタイルを実現する建築により、健康美、容姿美、生活美、精神美を追求し、真に豊かな生活を実現します。
映画は年間約500本鑑賞しており、特に「ローマの休日」が一番のお気に入りです。ロマンチックな一面もあります。
また、お酒も大好きで、奄美の黒糖焼酎「紅さんご」を常にストックしています。奄美の黒糖焼酎は最高です。
建築については、ある方に「山下さんの建築はワインのような建築」と表現されたことがきっかけで、ワインも楽しむようになりました。建築とワインには深い魅力があります。
母の料理で一番好きだったのはやぎ汁で、帰省するたびに必ずリクエストしていました。また、忙しい日々のエネルギー補給には黒糖が欠かせません。蕎麦も大好きで、せいろを食べる(すする)速さはおそらく日本一です。
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