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環境指針の理念

Environmental Guidelines

日本には「八百万の神」と言う言葉がある。古代の日本人は、山、海、木、太陽、動物、火、風などあらゆる自然現象に、神々しい「何か」を感じ崇めていくこの言葉を生み出した。どんなモノやコトにも神が宿っているということ、あらゆるものにリスペクトする精神を持っているということ、そして、この感覚を今日まで脈々と受け継いできた場所、それが奄美大島である。

何万年もの間受け継がれてきたその自然は、いよいよ2021年世界自然遺産に登録された。美しい自然と誇りを護り、世界中の人々へその魅力を実感してもらうことは、まちづくりと宿泊施設運営を行う私たちにとっての挑戦であり、使命である。

また、その豊かな自然の恩恵を享受し、ある時は厳しい一面に晒されてきたこの島の住民は、いつも自然とともに文化を育み、そして支え合って生きてきた。

集落間で歌や踊り、言葉が異なっていること、誰にでも元気に挨拶すること、同じ集落の人を家族のように思うこと、そんな何気ないこの文化や風景を持続させることこそ重要である。

誰一人、何一つとして見捨てられる物があってはならない。

私たちは奄美の自然と集落と人に寄り添い、ともに育みます。

A:持続可能なマネジメント

Sustainable Management

①経営方針

鹿児島県奄美大島は2021年7月26日、世界自然遺産に登録されました。奄美群島は360の異なった集落文化で成り立っていることも極めて文化的価値が高いところです。その集落文化を持続させるために、まちづくりの基本となる施設として、空き家だった古民家7棟・スーパーマーケット・カラオケボックスを改修した宿泊施設、高齢者施設、食堂・物販ギャラリー、コインランドリーを2016年から運営しています。

これらのまちづくりを経済的に成り立たせるために、2019年に海沿いに高級ヴィラ19棟やレストランを含むリトリート施設を開発しました。この施設は、全事業の利益の7割を占め、まちづくりの推進と経営が成り立っています。

②ステークホルダーの参画

まちづくりの拠点となっている笠利町赤木名内の2カ所に設けられた食堂・レストランと物産・ギャラリーは、全て自社で経営しています。地元産の食材や商品が約80%以上を占めており、食堂・レストランに食材を提供している農家畜産関係者、漁業関係者は全て地元住民・企業です。私たちの施設が拡充することで、より地元関係者と関わり、地域に利益を還元する予定です。

③負荷と変化の管理

「伝泊」は住民から聞いた空き家問題の解決から端を発したプロジェクトですが、建築家・山下保博は、稼働率が高くなくても運営を継続できるよう、初期費用を大幅に抑える努力をしました。例えば、改修の際に建設当時の姿に戻すのではなく、古民家が集落の中にあることを踏まえて経過した「時間」を尊重し、その家の持つ伝統や歴史を残すことに注力しました。

高級ヴィラは、元々海辺の荒地で、近隣に自然被害をもたらしていたところを整地しました。全ての建物を平屋で建てることで地域に溶け込み、景観と集落住民に負荷を与えない計画となっています。集落住民に歓迎され、まちに負荷を与えない、島の時間を変えることがない、そんな配慮が随所にされています。

B:社会経済的サスティナビリティ

Socioeconomic Sustainability

①地域経済への貢献

空き家を活用した宿泊施設が集落を活性化し、改修したコインランドリーが集落住民の洗濯の負担を軽減させ、食堂や広場が集落住民と観光客に食と交流の場となっています。これらの施設の運営に100人以上の従業員を雇用し、奄美大島北部で最大の民間企業となっています。そのうち全体の約7割が地元からの雇用です。さらに、地元工芸作家や職人と連携した作品を販売し、伝統技術の継承のためのワークショップや展覧会等を行なっています。

②社会福祉と負荷

私たちの会社は、まちづくりをベースとし、集落住民と観光客の相互の利益を補完する地域活性活動を行っています。

「誰一人取り残さない」というSDGsのコンセプトを基にしたまちづくりの拠点となる広場では、小さな子どもたちへの学童や塾の定期的な開催や集落住民に向けた伝統的料理を提供する食堂の展開、社会的弱者となりえる高齢者施設(有料老人ホーム・デイケア・訪問看護の3種類)の運営、障がい者施設の支援を行なっています。この広場は、集落の行事やイベントスペースとしても活用され、地域から求められている機能となっています。

C:文化的サスティナビリティ

Cultural Sustainability

①文化遺産の保護+②文化的場所への訪問

私たちのまちづくりの拠点となる広場は、江戸時代、歴史的な中心地として栄えていました。重要な文化遺産が多く残っているため、ガイドを行う地域の人たちと連携した観光客への体験プログラムを提供したり、伝統的な歌や踊りを継承するために定期的にイベントを開催したりしています。さらに地元の織物業者や様々な企業とともに「大島紬」という伝統的織物の活性化や職人の技術継承、昔ながらの伝統技術の復活の推進もしています。

D:環境的サスティナビリティ

Environmental Sustainability

①自然遺産の保全

私たちの地域から車で1時間位行ったところに世界自然遺産があります。国や行政の管理の下、エコガイドツアーも催行されていますが、私たちはオフィシャル組織と連携し、観光客の紹介や斡旋を行っています。また、自社施設周辺ではCo2排出量を削減するためにE-Bikeの貸し出しや、住民と連携したビーチの清掃を行うことで自然の保全活動に貢献しています。

②資源のマネジメント

施設ごとの消費エネルギーの数値化をできるだけ行い、見える化することで社員一丸となってエネルギーの削減に努めています。また、生活排水や産業排水を処理して循環利用する中水の利用を積極的に行うようにしています。電力については、小風力発電と太陽光発電による「エネルギーロスゼロ・リトリート」の実現に向けた実証実験を推進しています。

③廃棄物と排出量の管理

全施設で、アメニティのノンプラスチック化とお部屋に備え付けるのを廃止し、海中のプラスティックゴミの回収などを行っています。

また、2つのレストランと一部の客室内に設置されたコンポストで回収した生ごみを自社農園の肥料として活用し、育ったハーブや野菜を自社レストランで調理し、宿泊客に提供するいう循環する仕組みが構築されています

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山下保博とまちづくりグループ
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